北総線 運賃値下げと残る課題~3~

公共

北総線にも春が来た!?一方で…

話は前後し、2010年7月に京成成田空港線印旛日本医大~成田空港間が開業します。北総線区間である京成高砂~印旛日本医大間と併せて『成田スカイアクセス』の愛称が与えられ、北総線は空港アクセスの一部を担うことになりました。

まだ千葉ニュータウンが構想段階だった頃、東京~成田空港間に計画され、千葉ニュータウンにも駅が建設予定だった成田新幹線が、姿を変えて実現したともいえる大事業でした。
この成田スカイアクセスの列車は、運行上は京成電鉄の列車となり、北総鉄道は京成に線路を貸す立場になりました。そのため、運転本数増加よる人員増強を抑えながら、京成から線路使用料の収入を得ることで、経営の大幅な改善が期待されます。
ところが、周囲の期待と裏腹に京成電鉄から北総鉄道に支払られる線路使用料は、非常に僅かな額となりました。

このからくり、非常に複雑で難解。
詳細は機会があれば紹介することにし、極めて簡単な言葉で略すならば、「北総は貸す側とともに、京成に支払う義務もある立場だった」とでも言いましょう。
千葉ニュータウン住民、とりわけ印西市民もよく利用するアクセス特急は、北総線内に停車駅があるため北総の利用客も乗車します。つまり、京成の列車に北総の客が乗ることになり、北総は京成側に運行経費を支払う必要があります。
その他にも様々な理由から、アクセス特急の運行分は、北総と京成で利用客を『按分(あんぶん)』する契約を結んでいます。

また、北総線内を全駅通過するスカイライナーは、本来は北総線に存在しない列車であり、北総線内を高速運転に対応させる設備改修費も京成が負担していることから、線路や架線など日常の施設維持費と、電気代に相当する額を支払うことを基本にしています。

一方、旧公団区間の小室~印旛日本医大間を保有する千葉ニュータウン鉄道(京成電鉄の100%子会社)への線路使用料も、北総と京成で大きな差があります。
これは、北総鉄道の車庫である印旛車両基地を千葉ニュータウン鉄道から借用していること、北総鉄道も千葉ニュータウン鉄道から運行全般の委託料が支払われているなど、京成とは環境が異なることが理由に挙げられています。

見方によっては「京成は、アクセス特急で北総の客を奪い、スカイライナーは素通り」と映り、一部の住民から批判を受ける結果になりました。

それでも、これまで値上げの一途だった北総線の運賃が、利用者の期待を受け、成田スカイアクセス開業と同時に初めて値下げを実施します。
当時債務超過の北総鉄道に値下げの体力はありません。そのため、沿線自治体が北総鉄道の債務超過を支援するための補助金という形で、通学定期運賃を25%、普通旅客運賃は4.9%の値下げが実施されました。

この値下げは、債務超過解消後の北総鉄道に対する期待の意味合いも強く、成田スカイアクセス開業も関係したため、協議を急いだ側面もありました。事実として、白井市は議会で補助金案が否決、市長の専決処分で拠出を決めますが、その後当時の市長に賠償が命じられるなど混乱が見られました。

それから2年経った2012年、北総鉄道は沿線開発の進行による利用者の増加や、僅かながらの線路使用料の増収も手伝い、ようやく債務超過を脱します。

成田スカイアクセス開業、初めての運賃値下げ、そして債務超過の脱却が実現した北総線。
春が来たかと思いきや、まだ問題は立ちはだかります。
次回は、いよいよ今年の値下げの話題。そして未来の北総鉄道に何を求めましょうか。

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