北総線 運賃値下げと残る課題~番外編~

公共

これまで4回にわたり北総線の運賃問題を取り上げてきましたが、今回は番外編として著者の思うこと、そして鉄道を主とした地域発展の提案です。少し長い文面ですが、お付き合い頂ければ幸いです。

(あくまでも著者の私見であり、企業・行政および個人への批判ではありません)

1、北総線が高いのは誰のせい?

北総線の運賃の高さは、最初の区間(北初富~小室)が開業した1979年3月当時も同じで、他社よりかなり割高な運賃設定で運輸省から認可を受けています。その水準は、路線が延伸しても変わることなく続きました。
一方、千葉ニュータウンの街開きと北総線の開業・延伸はほぼ同時に進みましたから、ここに居住を決めた住民は高い運賃であることを承知していたはずです。その上で、運賃に対して北総鉄道や京成電鉄の企業体制を結び付けた批判の議論には、千葉ニュータウンの創成期から住む著者として、疑問を感じざるを得ません。
長年続く北総線の運賃問題の根源は、建設費が非常に高くついたこと、そして千葉ニュータウン計画の大幅縮小により当初見込んだ利用者数に未だ至っていないことです。

2、鉄道は儲かる?

明治時代から日本に近代化に大きく寄与した鉄道は、現在でも一般的には「儲かる商い」として認識され、原則として鉄道事業者の裁量・投資で営利を得ることを前提に法制化されています。
ところが、巨大な需要がある大都市ならともかく、北総線のように開業段階では沿線人口がほぼゼロの路線や、人口減少が著しい地方には現実的な考えではありません。
後に新線整備を進めるため、一旦は行政側が建設主となり、完成後に鉄道事業者に施設を貸し付け、建設費の償還後に譲渡する方式が採られますが、高度成長・バブル期に建設した路線は、当時の高金利に今も苦しめられ、まさに北総鉄道もその一例です。

鉄道事業者が営利目的の会社である以上、不採算の路線はリストラの対象です。しかし、JRでさえ北海道や四国はほとんどが不採算路線ですし、地方の中小事業者なら会社存続の議論になります。
近年になり建設費や維持費の国・自治体負担を大きくしたり、行政が鉄道施設を引き取るなどして事業者の負担を減らし、それでも賄えない分を運賃に値上げで路線を維持する施策が採られるようになっています。

昨今のコロナ渦や働き方改革により、鉄道を取り巻く環境はますます厳しくなっています。都市部以外の鉄道は、もはや「儲かる商い」ではなく、道路や水道と同様の『社会インフラ』を前提とした法制度でなければ成り立たない業種に移行しています。

3、今こそ共存共栄を!

住民組織で運行する『生活バスちばにう』などの代替交通の創設や、マイカーの利用して運賃の高い北総線に乗らない手もあるでしょう。しかし、街も鉄道事業者も共存共栄が大前提です。様々な交通体系があることは、利用者の選択肢が広がる点では好ましいですが、運賃が高いための代替手段として作ることでは抜本的な解決に至りません。

運賃問題の解決には、あくまでも鉄道需要をいかに増やすか、そして経営改善に協力できるかに尽きます。
その上で、北総鉄道が通学定期中心ながらも運賃値下げの英断をしたことは大きく評価でき、普通運賃の本格的な値下げに繋げるためにも、北総線利用者を現状より増やし、増収幅が値下げのダメージを確実に上回るよう成功させなければなりません。


それでは利用者増への取り組みには何があるか。鉄道事業者、行政、利用者の視点で考えていきましょう。

●北総鉄道・京成電鉄への要望
【その1】免許返納者の鉄道・バス利用の促進

行楽シーズンを中心に発売している1日乗車券や、値引率の高い昼間回数券等の利用日・時間帯を拡大させ鉄道利用の促進を図る。

【その2】臨時ライナーの定期運転化&ライナー券の北総鉄道収入枠の新設

「座って通勤」需要に応えるため、現在朝ラッシュ時に印旛日本医大発京成上野行きが1本運転されている『臨時ライナー』について、1~2本増発の上で定期運行化し、夕ラッシュ時の下りにも運行を拡大。
ライナー券の収入についても、運行する京成電鉄と協議し、北総鉄道にも一部の料金収入が入る協定を設ける。

 

●沿線自治体(行政)への要望
【その1】免許返納者の鉄道・バス利用の促進
免許返納者に対して、バス・鉄道運賃の一部を行政負担する。

【その2】コミュニティバスの運行拡充
北総線とのアクセスを向上させ、組み合わせ利用の促進を図る。

 

●利用者個人ができること
【その1】移動時の選択肢の筆頭に「鉄道」を考える
基本的にはこれに尽きる。
環境問題などSDGsの考え方を踏まえ、「移動=マイカー」から鉄道利用へのシフトを住民自身が真剣に考えていく必要がある。

【その2】高齢者に対する免許返納の促進
高齢になった方々のマイカーから公共交通機関利用にへのシフトを進め、交通安全と公共交通利用の両面で促進を図る。

【その3】回数券分売協力の推進
駅周辺の店舗以外に病院や町内会等にも協力を仰ぎ、回数券の分売購入が可能な場を増やす。
※回数乗車券は、本来利用者個人が直接北総鉄道から購入するのが望ましいが、普通運賃の割高感解消のため地元企業が協力していることを加味し、当面の措置として考えたい。

 

他にも様々な案が考えられると思います。
いずれにせよ、今回の運賃値下げを地域発展の起爆剤として私たちが大いに利用することこそ、街と鉄道事業者の共存共栄に今必要なことと考えます。


本件につきましては、引き続き不定期に記事として取り上げていきたいと思います。
読者の皆さまも屈託のないご意見も是非お寄せください。

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